今期(3月終了)アニメを評価してみないか?4(ゲームやアニメについてぼそぼそと語る人)
ピッコロ様主催によるアニメ評価に参加させていただいております。
今回評価する今期終了アニメは『キャシャーン Sins』です。続きは以下のボタンをクリック。
<評価基準>
■ストーリー … 脚本、設定も含めて、破綻がないか。テーマ性を貫けていたか。そしてオチがしっかりしていたか等。
■キャラクター性 … キャラクターの魅力。キャラクターと声優の声のイメージが合っているか等。
■画 … キャラクターデザインに忠実か。作画の破綻、崩壊がないか。よく動いてるか等。
■演出 … 声優の演技。盛り上がりを作れているか。BGMや挿入歌が効果的に使われているか。カメラワークや構図の工夫。各話の引き等。
■音楽 … OP・EDが作品の雰囲気に合っているか。BGMや挿入歌の評価等。
■総合評価 … この作品を面白いと思ったか、また満足度。他人に薦められる作品か等。
※評価基準は0〜5の各5点満点。
<『キャシャーン Sins』の評価>
■ストーリー … 4点
滅びへと向かう世界で、人間よりも人間らしいロボット達(一部例外も居ますが)が各々の『死生観』に葛藤しながらも懸命にあがく、というテーマを終始貫けていたと思います。
雰囲気的には『火の鳥』などの手塚作品に近いと言えるでしょうか。最近のアニメが『雰囲気が古臭い』などと目を背けがちな暗いテーマなんですが、個人的にはこういう作品をもっと観たいんですよ。
■キャラクター性 … 4点
自らの犯した罪に苦悩しながらも、死を振り撒く咎人として生きる事を選んだキャシャーン。
死を体験したことで、死を極端に恐れるようになり永遠の生を保つ道を模索するルナ。
特に物語の後半からはこの2人を中心とした掛け合いから、作品全体のテーマ(ストーリーの項で挙げた『死生観』への葛藤)が見え隠れしてきて、どんどん世界観に引き込まれていきました。
キャシャーンを超えることで自らの存在意義を示そうとしたディオや戦いの中でしか生きられないと悟ったブライキング・ボス、生命への渇望から美しさを求めたレダなどに代表されるサブキャラクター達も、各々の感情の元に魅力的なドラマを見せてくれたことも評価に値します。
ただそんな中で、リンゴの存在感が良く分からなかったってのがあるので、それを考慮して-1点しています。
(考えられるのは、『見守る者』とか『次代の希望』なんだろうけど…)
■画 … 3点
作中の演出上、あえて崩しているところもあるのでしょうが最近のアニメに比べてやや美麗さに欠けるといった印象は否めません。
しかし作品全体のテーマを考えた場合、これで良いと思っています。
■演出 … 5点
バトルシーンにおけるダイナミックかつ大胆なキャラの動かし方を評価したいです。
相手を完膚無きにまで叩きのめすキャシャーンの姿は、殺戮マシーンとしての冷徹な表情とも相まって迫り来る『死』の概念がモニター越しにも伝わってくるような迫力がありました。
そうした背景があってこそ、最後のキャシャーンの台詞(『死を忘れたら、必ず戻ってくる』)も引き立つというものです。
■音楽 … 4点
生まれてきたことへの存在意義を問う曲調の『青い花』、荒野の哀愁を漂わせる『蒼い影』、自らの罪と罰に揺れ動くキャシャーンの心情を表現したかのような『光と影』…と、作品の世界観を代表する名曲が揃っています。
劇中の音楽も、悲壮感漂うオーケストラが登場人物達が抱える心情をより際立たせていたと感じました。
■総合評価 … 4点
この手のダークなアニメは今や古臭いアニメと敬遠されがちなのですが、絶望の中でも懸命に生きる姿を描いたヒューマンドラマが好きな方には是非オススメしたい作品です。
今の社会が忘れがちな『生きるということ』をこの作品から感じることが出来れば、全体の面白さが分かってくるのですから。
■総合点 … 24 / 30 点
骨太のヒューマンドラマが好きな人、『死生観』について考えてみたいという人にオススメ。
作品としては中だるみが激しいかもしれないが、登場人物の葛藤を最後まで見届けることが出来れば楽しめるはず。