続きは以下のリンクをクリック。
続きを読む
■物語のあらすじ:
以下は会場にて購入したパンフレットからの抜粋になります。
時は、明治九年三月二十六日。
明治維新後、次々と新しい法令が制定され、日本は近代国家として着々とその道を歩み始めていた。
そして、二日後の二十八日には、帯刀を禁止する廃刀令が施行されようとしていた、その日。
北海道は函館に、ある五人の男が集められた。
元幕臣で、工学頭(工部大学校長)の大鳥圭介。
元海軍副総裁で、駐露特命全権公使の榎本武揚。
長州藩出身で、陸軍大臣の山形有朋。
紀州藩出身で、元老院議官の陸奥宗光。
そして、元新撰組で巡査の斉藤一。
それは、五稜郭に出るという「土方歳三の亡霊を退治せよ」という命が明治新政府から秘密裏に下されたからだ。
果たして、それは本当に土方の亡霊なのか?そして、退治できるのか?
六人の“武士”達の誇りと葛藤が、激動の明治の中で交差する。
■舞台の感想:
(あらすじにもある通り)歴史劇というよりは、
・箱舘戦争で散っていった仲間達に申し訳が立たないと思いながら、政府の官僚として生きる事に苦悩する榎本(演:弓削智久さん)
・愛する家族の為に武器を捨て、新しい時代に生きると誓った大鳥(演:萩野崇さん)
・土方(演:徳井健太さん)を始めとする新撰組の隊士に報いる為に華々しく散ろうと決意する斉藤(演:出合正幸さん)
・下級武士という出自に負い目を感じて成り上がろうとする陸奥(演:吉村崇さん)
・絶大な権力を手にしながら、心のどこかで武士の精神を引き摺る山形(演:高根研一さん)
といった『忠義の為なら死をも厭わない』はずだった武士達が、因縁の地での邂逅と対立、共闘を通して『文明開化の新しい時代に生きようと誓う』心情の変化を描いた人間ドラマだった…という印象を受けました。
それは特に、終盤における以下のシーンに最も表れていたのでは無いかと思います。
・陸奥との刀のやり取りを通して、斉藤が『もう刀を使わない。これからは警官の剣を使って人を守る』と宣言したこと
・土方の形見である小刀が、大鳥から斉藤の手に渡ったこと
・『生きろ』という土方の台詞
ただ脚本を書いた方が歴史群像劇に初挑戦ということもあってか、やや内容が突飛だったか?という印象も否めなかったかなー。
歴史上の背景とかはほぼテロップで垂れ流しだったので、内容を把握するまでに寝てしまう人や(自分の前で観てた人とか:笑)、舞台の時間軸が目まぐるしく変化(具体的に言えば、現在→回想→現在…の繰り返し)し過ぎてついて行けてない人がチラホラ居たような。
自分としては、日本史が大好きだし脚本家なりの解釈を交えた歴史上の人物の心の機微を読み取ろうとしてたので、あまり苦にはなりませんでしたが。
個々のシーンにおいては、投獄され自暴自棄になった榎本を必死で説得する大鳥の場面や、斉藤・大鳥・山形と土方の亡霊(実はただの浮浪侍)との殺陣の場面がとても素晴らしかった。
前者は弓削さんと萩野さんの迫真の演技が、後者は出合さんの刀の持ち方や構えがとても様になっていて、どちらも凄くカッコよかったです。
他には、陸奥役の吉村さんが観客を最後まで笑わせてくれたのもポイントですね。ここら辺はお笑い芸人としての面目躍如といったところでしょうか。
個人的には、この舞台を観劇する事が出来て満足しています。
次に観劇する時には、もう少し内容を掘り下げて密度を濃くしても良いと思います。その日が、またいつか来る事を信じて。