今期(3月終了)アニメを評価してみないか?4(ゲームやアニメについてぼそぼそと語る人)
ピッコロ様主催によるアニメ評価に参加させていただいております。
今回評価する今期終了アニメは『CLANNAD -AFTER STORY-』です。続きは以下のリンクをクリック。
<評価基準>
■ストーリー … 脚本、設定も含めて、破綻がないか。テーマ性を貫けていたか。そしてオチがしっかりしていたか等。
■キャラクター性 … キャラクターの魅力。キャラクターと声優の声のイメージが合っているか等。
■画 … キャラクターデザインに忠実か。作画の破綻、崩壊がないか。よく動いてるか等。
■演出 … 声優の演技。盛り上がりを作れているか。BGMや挿入歌が効果的に使われているか。カメラワークや構図の工夫。各話の引き等。
■音楽 … OP・EDが作品の雰囲気に合っているか。BGMや挿入歌の評価等。
■総合評価 … この作品を面白いと思ったか、また満足度。他人に薦められる作品か等。
※評価基準は0〜5の各5点満点。
<『CLANNAD -AFTER STORY-』の評価>
■ストーリー … 3点
まず始めに。
自分は原作未プレイです。さらにこの作品を評価するにあたり、前作である『CLANNAD』も併せて視聴しました。
前作が気弱な少女─渚─が退屈な日常を送っている少年─朋也─と出会って成長していく物語であるならば、本作は少女が少年の支えとなって少年が抱える問題と向き合っていく物語…と全く逆の構図になっています。
そしてこの構図は『少年と少女が両親や親友・恩師といった人々との交流を通し、結婚して生まれた子供の親として、家族として歩んでいくまでの道程』としての意味を成しており、終始『人生』というテーマを一貫している点において特筆に値します。
作中のキャラクターである『だんご大家族』や、前作冒頭の『俺たちは登り始める。長い、長い坂道を。』って台詞にもこうしたテーマが散りばめられいるところといい、これ程までに『人生』という言葉が似合う作品も珍しい。
序盤は春原を始めとするサブキャラクターに焦点を当て、中盤からは本枠である朋也と渚・汐を中心とする家族の物語へとシフト。
展開として突飛な部分があったものの、個々のエピソードの密度を濃くすることである程度までカバーしていたのは好印象です。
# しかし中盤以降、春原の出番がほぼ無くなったのは個人的に寂しかった…。(笑
しかし…ラストのあの展開は、個人的に理解は出来ても納得は出来なかった。
終盤にて、世界そのものである少女─幻想世界の汐─は世界を漂う光の玉─現実世界の人々の願い─を守ってきた存在であること、ガラクタ人形─幻想世界の朋也─はそうとは知らずこの世界から共に出ようと願ったことが明らかになりました。
そして少女は、光の玉─人との出会いや出来事─を通して再び巡り会える、だから心配しないで…と言い残し、ガラクタ人形は幻想世界から現実世界へと文字通り“帰還”した。
うん、ここまでは頭の弱い自分でも何とか理解はできた。(ぉ
んで戻ってきた先は、渚が汐を生んだあの日。物語的には此処で、汐を生んだ後に渚は死を迎えるはずだった。
しかし今度の世界では、渚も無事に生存。親子3人水入らずでハッピーエンド。
この展開を見た瞬間、モニターの前で脱力しました。『あぁ、やってしまったな』って。(笑
今までの物語で培ってきた人々との出会い、以下に挙げる
・公子の結婚を一生懸命祝おうと奮闘してきた風子の願い
・幼少時代を共に過ごした少年─朋也─ともう一度会いたいと願ったことみの願い
・生徒会長になって思い出の桜を残そうと頑張ってきた智代の願い
・朋也の事をずっと想いつづけてきた椋と、それを陰に日向に応援し続けてきた杏の願い
・実らなかった初恋をずっと引き摺り続けてきた美佐枝さんの願い
・しっかり者の兄でいて欲しいと願い続けた芽衣と、心配性の妹を誰よりも大切に思っている春原の願い
・不良達に争いを止めて平和に暮らして欲しいと望んだ有紀寧の願い
・朋也と春原を引き合わせた幸村の願い
・自身の人生を子供に捧げ、本懐を遂げた直幸の願い
・挫折した自分を支えてくれた公子に全てを捧げると決意した芳野さんの願い
・夢を捨てたのでなく、自分の子供に夢を託す事を選んだ早苗さんと秋生さんの願い
こうして積み上げてきた想いが─幻想世界における光の玉─という形で具現化し、それが朋也と渚・汐が無事ハッピーエンドを迎える為の試金石になった…って考えると、どうにも予定調和というかご都合主義というか、何かそんな感じがして好きになれなかったのです。
せめて『渚も汐も居なくなった世界で絶望した朋也が、これらの想いを背負って立ち直る』とか、あるいは渚は最初から死なせずに『子育てで様々に困難にぶつかるけど、これらの想いを以下略』にシフトさせ、人間ドラマに徹した方が良かったかも。
いや、ハッピーエンドにするにしたってもう少しやり方があったと思うんだ。(笑
# 単に原作をなぞっただけなのかもしれないけど。
■キャラクター性 … 4点
渚や汐というかけがえのない存在を得て、それまで逃げ続けてきた自身の問題と向き合っていった朋也の姿は格好良かったですね。
特に19話での直幸との和解のシーンは、演出とも相まって男前度3割増ってトコで。(笑
個別エピソードがあったとはいえ、サブキャラクター達の出番が9話以降ほぼ無かったのは寂しい限りです。
個人的には就職して黒髪になった春原が、同窓会で杏あたりに散々弄られるシーンとかも観てみたかったかなー。(笑
■画 … 5点
流石は京都アニメーションの描くアニメーションにハズレなし、と言わしめるだけのクオリティですね。
綺麗な作画はもとより、背景やカメラ・光源の位置などといった「キャラ映えする構図」を上手く押さえ、物語に深みを持たせる手法を心得て作っている辺りにこだわりを感じます。
■演出 … 3点
シリアスなところは徹底してシリアスを貫き、コメディで落とすところは徹底して落とす。
この2つのバランス配分は絶妙でしたが、古河パンや風子の登場シーンがほぼワンパターンのギャクで、何だか同じようなシーンを見せられているような感覚から苦痛でしかなかったのは大きなマイナス要素と言わざるを得ないです。
春原の登場シーンが毎回面白かったのが救いでしたが(ていうか、これが無かったら視聴を最初の方で辞めてたかも…)、中盤からはそれすら無かったしなぁ…。
■音楽 … 3点
これも演出と同様、同じような音楽の繰り返しでだんだん聴いてて飽きてくるのが大きなマイナス要因になってしまいました。
音楽そのものや流すシーンとしては適当だと思いますが、『あ、この場面ではこの曲が流れる』と思った次の瞬間には予想通りの曲が流れる…ってのは興醒めも良いところ。
■総合評価 … 3点
終盤の展開が自分の求めていたものと相容れなかったこと、一部の演出や音楽に対するツッコミから自分の中では低い評価になってしまいました。
(あまり言いたくはないけど、1点をつけようかと思った程に)
しかし前作・本作を通して評価した場合にテーマ性が一貫していること、客観的に判断すれば視聴者が求めるものは描き切れていること、作画レベルの高さを考慮した上で3点をつけました。
物語の主人公とヒロインが歩んできた『人生』には、我々が生きているこの世の中にも通ずるところは多々あります。
人生について考えている人、友人や肉親との触れ合いを大事にしたいと思っている人、それに絡む暖かな人間関係に憧れる人には自信を持ってオススメできる作品です。
この作品を見て、家族の一つのあり方を感じてみてください。
■総合点 … 21 / 30 点
上記の総合点は、あくまで個人としての評価が低くなってしまった故の結果。
ほのぼのしたホームドラマが好きな人や、涙あり感動ありのストーリーが観たい人に自信を持ってオススメできる作品。
最後の超展開に妥協できるかどうか、それがこの作品を楽しむ上での重要ポイントか?